テスト自動化とは、ソフトウェア(コンピュータープログラム)を作るときにプログラムが正しく動くかどうかをチェックする作業をシステムに自動で行ってもらう仕組みのことです。

テスト自動化システムは、開発者が新しいコードを書くたび、そのコードがうまく動くかどうかを自動でテストしてくれます。これにより、開発者は何度も同じテストを手作業で行う必要がなくなり、別の作業に時間を使えるようになります。

例えて解説︰テスト自動化をレゴで例えると?

例えば、あなたが大きなレゴの城を作っているとします。毎回新しい部分を加えるたびに、すべての部品がちゃんとはまっているか、城が崩れないか確認する必要があります。最初は小さい城だから手でチェックするのは簡単ですが、城が大きくなるにつれて、その確認作業はとても時間がかかるようになります。ここで「テスト自動化」が登場します。レゴの城に新しい部分を加えるたびに、小さなロボットが自動的にチェックしてくれるのです。

テスト自動化の目的

なぜテストを自動化する必要があるのか。その目的を大きく3つに分類して考えてみましょう。

目的1︰コスト削減

手作業でテストすると、何回も同じ作業を繰り返し、時間がかかります。しかし、自動化すると、その仕組みが勝手にテストをしてくれるので、人が何回も同じ作業をする必要がなくなります。これによって、時間が大幅に節約でき、人がその時間を他の大切な仕事に使えるようになるため、会社全体のコストが削減されます。

目的2︰品質保証

自動化されたテストはいつでも何度でも実施可能です。これにより、問題を早期に発見し対処することが可能になります。さらに、システムがテストを行うことでヒューマンエラーを排除し、より複雑なテストも可能になります。

目的3︰開発スピードの向上

自動化テストは人の手によるテストよりも迅速に実施でき、問題の早期発見と修正を実現します。これは特にアジャイル開発が主流の現在の開発環境において不可欠であり、テストの遅延による開発の停滞を防ぎます。また、短期間のテストサイクルを通じて迅速なフィードバックを提供し、開発プロセス全体の効率化を促進します。

テスト自動化の進め方

自動化には大きく分けて「コードを書いて自動化するパターン」と「ノーコードツールを使用するパターン」の2つがあり、最近はノーコードツールの使用がトレンドになっています。

コードを書いて自動化するパターン

コードを書いて利用するツールでメジャーなのが「Selenium」(セレニウム)です。SeleniumはWebアプリケーションのテストを自動化するためのオープンソースツールであり、多くのプログラミング言語(Java、Python、C#など)に対応しています。他には「JUnit」や「TestNG」(Javaのテストフレームワーク)、「pytest」(Pythonのテストフレームワーク)などがあります。これらのツールは、主に単体テストの自動化に使用され、Seleniumと組み合わせることでより効率的なテスト自動化環境を構築できます。

ノーコードツールを使用するパターン

プログラミング知識が少ない、またはコードが全く書けないユーザーでも簡単にテストを自動化できるようになるツールとして近年注目されているのがノーコードツールです。代表的なツールとして「MagicPod」や「Autify」「Mabl」「Katalon Studio」「Testim」「Cloud QA」「LEAPWORK」「Ghost Inspector」などがあります。

テスト自動化の考え方「テストピラミッド」

テストピラミッドは自動化に関係なく、ソフトウェアテスト全般に適用される重要な概念です。最も頻繁に実行されるべきテストが「ユニットテスト」で、次に「インテグレーションテスト」があり、最後にE2Eテスト(エンドツーエンドテスト)があります。自動テストの文脈でよく出されるのは、テストピラミッドが効率的に自動化する上で重要だからです。

よくあるのはE2Eテストばかりをして、テストプロセスが非効率になるパターンです。E2Eテストは全体のフローをチェックするために必要ですが実行に時間がかかり、しばしば抜け漏れが生じます。ユニットテストで細かく素早くテストし、インテグレーションテストでシステムがうまく連携しているかを検証し、最後にE2Eテストを行います。これにより、テストはより迅速かつ効率的になり、開発プロセス全体の品質と速度が向上します。

テスト自動化は、時間とリソースの節約、テストカバレッジの向上、そしてより信頼性の高いソフトウェアリリースに貢献します。ただし、全てのテストを自動化することは現実的ではありません。自動化は、テストの種類に合わせて手動テストと組み合わせることが重要です。